大人になって行者ニンニクの美味しさに気が付いた!十勝民・おかめです。
趣味の一つが山登り、というパートナー氏。
春になると行者ニンニクやたらんぼなども採ってきてくれるので、美味しい山菜を色々と食べられるようになりました。
北海道を舞台にした漫画・ゴールデンカムイでは、行者ニンニク(アイヌネギ)を汁物などにして、食しているシーンがありました。
十勝を舞台にした漫画・銀の匙では行者ニンニクの醤油漬けが出てきていました。
確かに汁物にしても醤油漬けにしても、餃子のタネにしても美味しいです。
しかし、私は行者ニンニクは天ぷらにするのが一番美味しいと思っています。
- 行者ニンニクってどんな山菜?
- 採る時の注意ってあるの?
- 天ぷらってどんな感じなんだろう?
という事について、実体験やたろう氏の話を元にまとめてみました。
(行者ニンニクを主な呼称として統一しています)
行者ニンニク(アイヌネギ)とは
行者ニンニクってどんなもの?
アイヌ民族の方々が食べていたネギみたいなもの。
という事で、北海道ではアイヌネギとも呼ばれています。
生息地や採れる時期などを簡単にまとめてみました。
- 北海道~近畿地方くらいまでに存在しており、水の近くや日陰などによく生える。
- 採れる時期はハウス栽培であれば1~3月、天然・露地物だと3~6月。
- 玉ねぎやニンニク、ニラなどの仲間でユリ科ネギ属の多年草。
行者ニンニクの名前の由来
- 山で修業をする行者(修行僧)が食べていたから
- 精が付き過ぎるから行者は食べるなと言われていたから
などの説があります。
北海道や東北から南では高い山に生えている事が多い行者ニンニク。
そのため、山で厳しい修行をしていた修行僧が滋養強壮のために食べるのにぴったりだったのです。
そこから行者ニンニクと呼ばれるようになったという説が一般的です。
そして、仏教では精がついたり血の気が増えると、修行の妨げになって良くないと考えられていました。
そのためネギやニラ、ラッキョウなどの辛味や臭みのある、滋養強壮に良い野菜は食べてはいけないという決まりがあります。
特に、ニンニクは忍辱ともかけるので、特に我慢すべき野菜と考えられていました。
見た目はニンニクではないけれど、修行僧は食べてはいけない野菜という意味で行者ニンニクという名前が付いた、とも言われているようです。
行者ニンニクとアイヌ民族の関係
行者ニンニクをアイヌ語で言うと
アイヌ語で行者ニンニクは、プクサやキトピロ、キトなどと呼ばれています。
オオウバユリ(トゥレプ)と並んで、重要な食べ物としてアイヌ民族の方々は扱っていました。
明治時代の北海道を描いた漫画・ゴールデンカムイでも、行者ニンニクが登場しています。
- 2巻 乾燥させた行者ニンニクを味付けに使用。ウサギの肉でオハウなどを作っていた。
- 8巻 春の山菜として紹介される。味噌に生の行者ニンニクを付けて食べていた。
春に採れた行者ニンニクを乾燥させて、アイヌ民族の方は普段の料理に使っていました。
香りづけや味付けに、スパイスとして親しまれていたのです。
食べる以外にも、独特の香りは悪いもの、病魔などを退ける力があると信じられていました。
そのため、伝染病などの流行り病があると家や村の入り口に飾って、魔除けにしていたそうです。
ヨモギ(ノヤ)もその香りや効能から、魔除けや薬として重宝されていました。
“行者ニンニクがある場所”という意味のキトウシ
キト・ウシで行者ニンニク・ある場所という意味になります。
行者ニンニクがたくさん採れる場所、という事ですね。
キトウシは、今でも北海道の地名として存在しています。
十勝 喜登牛
釧路 来止臥
旭川 鬼斗牛
漢字は違うものの、これらは3つともキトウシです。
仕事で十勝管内を回っているたろう氏によると、今はこごみの方がよく見かけるとの事でした。なので、行者ニンニクがたくさん採れたのは昔の話のようです。
行者ニンニクを自分で採って食べる時の注意
行者ニンニクを採る時の注意
行者ニンニクを採る時には注意する事が2つある、と山男(たろう氏)は言います。
- 地上から5cm残して採る事
- 生えているのを全部採りきってしまわない事
残して採ると食べる部分があまりにも少ないものは、まだ人間が食べるのに適したサイズではありません。
行者ニンニクは成長するのにとても時間がかかる山菜です。人間が食べられる適度な大きさになるまで、2~3年はかかります。
とても立派に育つまでは、5年と言われています。
乱獲などの影響で、昔よりも行者ニンニクが採れる場所が少なくなっている、という話もあります。
- 自分で食べられる分だけを採る
- 根こそぎ採らない
- 成長中の小さなものは採らない
など配慮しないと、天然の行者ニンニクが食べられなくなる未来がやってくるかもしれませんよ。
行者ニンニクを見分けるポイント
- 葉は2枚か
- ニラやニンニクのような香りはするか
イヌサフランやスズランなど、行者ニンニクとよく似た植物も生えています。
これらを間違って採って食べた事による食中毒が、毎年春になると問題になっています。
行者ニンニクの特徴は2枚葉です。
しかし、大きくなると3枚葉になっている事もあり、その見た目がイヌサフランなどに良く似ています。
なので、行者ニンニクは2枚葉を目印にする事をオススメします。
茎などを折って匂いを嗅ぐと、行者ニンニクであればニラやニンニクのような香りがします。
もし3枚葉だけど大きい行者ニンニクかも知れない、という時は匂いを嗅いで確認すると間違いません。
見分け方を熟知している山菜採りの経験者と行く事を強くオススメします。
調べると、ふるさと納税でもお取り寄せが出来るんですね。
行者ニンニク(アイヌネギ)の天ぷら
銀の匙15巻では、刻んだ生姜を入れた行者ニンニクの醤油漬けが登場していました。
我が家では行者ニンニクの天ぷらが春のご馳走となっています。
醤油漬けよりも美味しいよ!と声を大にして言いたい行者ニンニクの天ぷらについて、語っていきたいと思います。
行者ニンニクの天ぷらはこんな感じ
行者ニンニクの天ぷらの美味しさを語ると長くなるので、簡単にまとめてみました。
薄い衣であれば、より葉のサクサク巻が味わえて素敵です。
簡単な作り方
- 行者ニンニクの赤い部分を取る
- 葉の分け目を重点的によく洗う
- 水気を切る
- 大きければ食べやすいサイズに切る
- 市販の天ぷら粉で作った衣をつける
- 180℃に熱した揚げ油で30秒~1分揚げる
アク抜きが要らないので、しっかり洗うだけで下ごしらえは終了です。
↓楽に天ぷらを作れるので愛用してます。
揚げる時も、衣が揚がれば良いくらいなので、すぐ揚がります。
食べる時は塩を振りかけるだけでとっても美味しいです。
お好みでおろしポン酢などがあっても良いかと思います。
最後に
天ぷらにすると、とっても美味しい行者ニンニク(アイヌネギ)について、私の体験を元にまとめてみました。
春になると、行者ニンニク以外にも、北海道では美味しい山菜がたくさんになります。
安全に採ったり、スーパーや道の駅などで買って、春の味を楽しんでみて下さいね。