網走の冬に流氷と共にやってくる、クリオネ。
漫画・ゴールデンカムイ215話では白石がクリオネを食べている(?)シーンもありました。
クリオネって食べられるのか、それまで考えた事もありませんでした。一度気になると、クリオネって不思議すぎる存在です。
どんな生き物なの?
どうして流氷と一緒に来るの?
名前の由来ってなんなの?
そもそも食べられるの?
クリオネって何なんでしょうか。気になって調べてみると面白かったので、まとめてみました。
クリオネって何?
クリオネは動物性プランクトン
流氷の天使・氷の妖精とも呼ばれるクリオネ。標準的なサイズは1~3センチ程です。
軟体動物門腹足裸殻翼足類のハダカカメガイ科の生き物です。
- イカやタコなどの体の柔らかい体をしたグループの中の、
- ウミウシなどの貝殻がない仲間達のなかの、
- 翼足(ひれみたいな部分)を持った生き物
だそうな。
オホーツク海や北極海・南極海など冷たい海に生息する、動物性プランクトンの一種です。
冬になると流氷と一緒に流れに乗ってやってきます。
ずんぐりむっくりに太ったような、ダルマハダカカメガイという仲間もいます。
クリオネの名前の由来
クリオネって可愛い名前はどこから来たのでしょうか。実はクリオネ・リマキナは学名で、ラテン語です。
このクリオネは、ギリシャ神話の海の女神・クレイオが由来とも言われています。
そして、リマキナとは、ナメクジのような、という意味です。
なので、「クリオネ・リマキナ」でナメクジような海の女神という意味合いになります。
流氷の天使と呼ばれるのは?
流氷と共にやってきて、ひれのような翼足のふわふわ可愛い動き方から、そう呼ばれているというのが通説です。
しかし、英語でクリオネの仲間の総称をsea angelと呼ぶからという説もあります。
クリオネが流氷と一緒にくる理由
クリオネはどうして流氷とセットなのでしょうか?
流氷は、もともと、ロシアのアムール川から栄養分をたくさん含んだ水がロシアの海に流れ込み、その水が凍ったものです。
そして、冬になるとオホーツクの海まで流れにのってやってきます。
- 流氷の栄養分を餌に、植物プランクトンが増える
- 植物プランクトンを食べたくて、動物プランクトンが集まる
- 動物プランクトンを食べるために小魚があつまる
- 更に小魚を餌にする魚が集まる
という事が流氷の下では起きています。
この動物プランクトンにクリオネが含まれています。
ちなみに、クリオネは自分と同じ仲間である、動物プランクトンのミジンウキマイマイを食べています。
そしてクリオネを食べるのは、サケやマスなどといった海の魚たちです。
クリオネの体のヒミツ
クリオネの捕食シーンは意外!で話題に
昔やっていたテレビ番組・トリビアの泉でも取り上げられていた事があります。
見た目は天使なのに、クリオネの捕食シーンはびっくりする、と。
探してみると、北海道・紋別で撮影された映像が見つかりました
捕食する際に出てくるツノのようなものは、バッカルコーンという名前の触手です。
この触手でクリオネに似た仲間を捕まえます。
そして、抱き込むようにしながらしっかりとつかんで、じわじわと時間を掛けて栄養を吸収していくのです。
一度食事をすると、半年は食べなくても大丈夫、というくらいの低燃費っぷりです。
クリオネの体の構造
半透明で不思議な感じが可愛い、クリオネの体の構造について簡単にまとめてみました。
触覚
つんつんした、可愛いチャーミングポイントの1つ。
そして、この間に口があります。
翼足
ひらひらした可愛いチャーミングポイントその2。
ひれのようにして海中を泳げるそうですが、流れに抗うまでの力はないのだとか。
そのため、流れに任せてふわふわ漂う事がほとんどです。
ただ、その動かすスピードは速いので、写真を撮るタイミングが難しいです。
内臓
半透明の体の、頭と胴体の中に見えるオレンジ色は内臓などです。胴体には消化器官などが入っています。
肺やエラはなく、海中の酸素を皮膚から取り入れていると考えられています。
クリオネは巻貝の仲間
本当はサザエなどの巻貝の仲間です。けれど、成長していく中で殻が無くなるのです。
卵からかえってしばらくは、巻貝に似た殻をかぶっています。しかし、大人になると殻が無い姿になるのです。
ウミウシやアメフラシに殻がついているなんて。
知らなかったので、意外でした。
クリオネが透き通ってる理由
イカも透き通っていますよね。
あれはタンパク質の性質で透き通って見えるのだそうです。
そして、質が良ければ良い程、透明感が増すのです。
そのため、クリオネの体は内臓が透けて見える程の良質なタンパク質で出来てるんですね。
ちなみに、透明な姿になって捕食者に見つからないようにするためにそうなった、という説もあります。
クリオネについての豆知識
クリオネは食べられる?
プランクトンのクリオネ。実は良質なタンパク質でできているらしいクリオネ。
と思ってしまうのが人間です。
ただ残念な事に、クリオネはシンナー臭いなどのうわさもあります。
実際にクリオネは食用には向かない存在なんですね。
ちなみに、クリオネを模した可愛いりんご味のグミがオホーツク方面で買う事ができます。
見た目も可愛い&美味しいのでオススメです。
クリオネは網走でしか見られないの?
北海道内の水族館ではクリオネはよく見かけます。
道外の水族館にはあまり行った事がないので、知らないだけかもですね。
言う事を聞かないペンギンショーで人気のおたる水族館や、デートの定番・登別マリンパークニクスにも居た気がします。
お土産物屋さんなどに瓶に水が入ってるのがポンと置いてあったのを見た事があります。
なんだろう?と思ってよく見たらクリオネが入れられてたんですよね。
そのくらいの勢いで冬の網走ではポピュラーな存在、という事なんだと思うのです。
網走のオホーツク流氷館では、通年クリオネの姿を見られる他、流氷の事などを知る事ができますよ。
クリオネの天敵はクラゲ
クリオネの天敵はクラゲです。
けれど、クリオネは協力者の力でクラゲに食べられないように工夫をしています。
- クラゲの近くにいる生き物(ヒペリイド)にくっついて、クラゲから身を隠している
- ヒペリイドはクリオネの出している、魚に嫌われる成分のおかげで天敵に食べられない
クリオネの繁殖のヒミツ
見た目からして可愛いのがメスで、あんまり可愛くないのがオスかしら、なんて思ってしまうクリオネ。
しかし、事実は違います。
繁殖の際は別個体同士でくっついて卵を作る事になります。もし、水槽の中でくっついてるクリオネを見かけたら…繁殖中かもしれません。
最後に
クリオネについてまとめてみました。生態を知ってみると、ゆるふわ女子かと思いきや、なかなか肉食系女子に思えてきますよね。
そして、思っていた以上に不思議な存在だった、という事が分かり、調べていてとても楽しかったです。
以上、海の生き物が大好き!北海道民・おかめでした。